日本の介護業界には様々な課題が潜んでいる。介護職の人手不足をはじめ、職員の待遇問題や転職問題などが真っ先に挙げられるだろう。加えて、施設利用者への虐待問題も近年問題になっている。これらは独立した課題ではなく、根底の部分ではつながっていると考えられるだろう。こうした課題を解決するポイントとしては、介護業界全体の状況改善が挙げられる。介護は身体機能が低下した高齢に対し、QOLの維持向上を図るものだ。但し現状では業界自体に対して、大きな生産性を期待することは難しいと言えるだろう。それでも、介護業界の課題を解決するには、効率化によるスマート化が不可欠だ。それが目に見えない部分における、生産性の向上につながるからだ。

介護業界自体のスマート化は、介護職員だけでなく要介護者にとっても幸福度の向上につながる。端的には要介護者に携わる時間が増えるためで、介護サービスが充実するからだ。現状では介護職員は様々な雑事に追われており、介護サービスの時間が削られがちである。背景には介護保険関係の手続きが煩雑ということがあり、書類提出などに相当な労力と時間を要している。こうした手続きを簡素化するだけで、介護業界の効率化が図れるのだ。加えて、介護職の働き方にも改革が必要である。現状は有給休暇の取得が難しい雰囲気があり、適切に消化されていなケースが殆どだ。ブラックな労働形態そのものが職員の不満の原因にもなって、離職率の高さにもつながっている。しかしながら、介護職は今後必要不可欠な存在であることは間違いない。施設によっては改善しようと取り組んでいるところもあるため、転職の際はそのような職場を探してみると良いだろう。